
自動車購入で最もテンションが上がり、幸福感に包まれている時です。
ところが「申し訳ございませんが、ローンの審査が通りませんでした。お支払い方法の変更をお願いします」との連絡が・・・。
決算時期の大幅値引きも、おまけのオプションも、ローン審査が通らずに購入が延期となれば一旦リセットです。眼の前は真っ暗闇となってしまいます。
実は自分には全く身に覚えがない場合でも、マイカーローンの審査に落ちるのにはきちんとした「理由」があるのです。
そこで今回の記事では、
- 銀行系、信販系、ディーラー系といった申込先で変わる審査の難易度
- 審査に落ちる「理由10選」
- 審査に落ちてしまった場合の対応策
などについて解説していきます。
これからクルマの購入を考えている人、マイカーローンの審査に少しでも不安のある人には必見の内容となっています。ぜひ最後までお付き合いください。


これは金利の低さに比例しており、金利が低い=審査が厳しいという関係が成り立っています。
それでは詳しく見ていきましょう。
目次
銀行系のマイカーローン審査が厳しい理由

銀行系の審査が厳しいのは、
- 「金利が低い」
- 「保証会社の保証を必要とする」
という点に理由があります。
金利は「信用」と密接な関係がある
信用できる人であれば、借りたお金を「確実に」「スムーズ」に返済してくれます。そのため回収したお金をまた次の目的に利用でき、資金のロスがありません。
結果として、お金を貸すのに余計な費用がかからないので金利を安くできます。自分の親兄弟や親友にお金を貸す時、高金利は取りません。それと同じ理由です。
銀行は安い金利でマイカーローンを提供しているので、「本当に信用できる人」にしかお金を貸しません。
そのため審査が厳しくなるのです。
保証会社との二重チェック
銀行は万が一、マイカーローン契約者が支払不能状態になった場合、自分でリスクを負うことはしません。
そんな時のために間に保証会社をはさみ、万が一の時は保証会社に残金を肩代わりしてもらうことでリスクを回避しているのです。
ただ保証会社としても、できるだけ肩代わりする事態は避けたいので厳しく審査します。
そのため信販系のマイカーローンは、このチェックが1回になるので、銀行系よりは厳しくならないというわけです。
ディーラー系マイカーローンの審査が比較的緩い理由

ディーラー系の審査が比較的緩いのは、
- 「金利が高い」
- 「所有権留保という担保を設定する」
- 「どうしてもクルマが売りたい」
という3点に理由があります。
ディーラー系マイカーローンは金利が高い
銀行系のマイカーローン金利が1.5%~3%程度なのに比べ、ディーラー系マイカーローンの金利は4~6%程度と高くなっています。
そのため上記した銀行とは逆の理由で、審査がゆるやかになるのです。
所有権留保を設定する
ディーラー系のマイカーローンの場合、「所有権留保」の設定をすることが多くなります。
所有権留保とは、クルマを購入した人(マイカーローンの申込人)にクルマの所有権を渡さず、ディーラーやディーラー系の信販会社が所有権を持つ(留保する)という担保の一種です。
ディーラー側はローン契約者の支払いが滞った場合、クルマを引き上げてそのクルマを中古車販売などで処分し、未払金に充当します。
ちなみに銀行系の場合はこの「クルマを処分して現金化する」というルートを持たないため、所有権留保が設定されることはありません。
ディーラーはどうしてもクルマが売りたい
ディーラーの仕事はクルマを売ることです。自分たちの評価や給料もすべて販売台数が元になって決まります。そのためクルマを売ることに関しては、必死になるわけです。
ローンの審査に通らなければクルマは売れないので、結果として銀行系などより審査をゆるくして多くの人を通すようにします。しかしそんなディーラー系のマイカーローンでも落ちる人は落ちてしまいます。
次では、マイカーローンに落ちる代表的な理由を紹介していきます。
マイカーローンに落ちる理由10選

1. 過去に金融事故を起こしている
マイカーローンに申し込んだ人が過去に「金融事故」を起こしていた場合、審査に通ることは難しくなります。
金融事故とは?
ローンやクレジットカードの返済中に問題が起こることを「金融事故」といいます。
代表的なものは以下の通りです。
長期延滞
ローンやクレジットカードの支払いなどを2~3ヶ月以上延滞した場合
債務整理
任意整理や破産などの借金を減らす手続きを行った場合
代位弁済
自分では借金の返済ができず、保証会社に支払いを肩代わりさせたことがある
強制解約
長期延滞など契約者の過失により金融会社から契約を打ち切られたことがある
金融事故はいつまで遡る?
起こしてしまうとダメージの大きい金融事故ですが、記録が半永久的に残るわけではありません。
- 金融事故の種類:信用情報への登録期間
- 長期延滞:延滞解消後1~5年
- 債務整理:発生後5~10年(破産以外は最長5年)
- 代位弁済:発生後5年
- 強制解約:発生後5年
上記のように、決められた期間が過ぎれば信用情報機関への登録は抹消されます。
自分の信用情報を確認する方法
現在日本には個人の信用情報を登録・管理している期間が3つあります。
- CIC:主にクレジットカードの情報を登録
- JICC:主に消費者金融の情報を登録
- JBA:銀行からの借入・返済状況、事故情報、官報記載状況を登録
各信用情報機関は情報を開示しており、問い合わせることによって自分の信用情報を知ることができます。
いずれも問い合わせの際に、運転免許証、マイナンバーカード、パスポート等の本人確認資料が必要となります。
信用情報機関名 | 情報開示方法 | 手数料 | 受付日時 |
---|---|---|---|
CIC (株)シー・アイ・シー | インターネット | 1,000円 (クレジット決済のみ) | 毎日8:00~21:45 |
郵送 | 1,000円 (定額小為替証書) | 申込から10日程度で開示報告書が到着 | |
窓口 | 500円(現金) | 平日 10:00~12:00 13:00~16:00 | |
JICC (株)日本信用情報機構 | スマホアプリ | 1,000円 クレジットカード、コンビニ払い、銀行振込 | 24時間365日 (メンテナンス時間帯を除く) |
郵送 | 1,000円 定額小為替証書 クレジットカード | 申込から10日程度で開示報告書が到着 | |
窓口 | 500円(現金) | 平日10:00~16:00 | |
JBA (社)全国銀行個人信用情報センター | 郵送 | 1,000円 定額小為替証書 | 申込から10日程度で開示報告書が到着 |
2. ローンなどの支払いを過去に延滞していたことがある
長期延滞にあたらない短期の延滞でも、信用情報機関には記録が残り、それが原因でマイカーローンの審査に落ちる場合があります。
上記信用情報機関に問い合わせてみましょう。
3. 収入における返済負担率が高い
返済負担率
返済負担率とは「年収のうち、どれ位の額を借金返済に充てているか」を割合で示したものです。
年間返済額÷年収×100
で表されます。
年間返済額に含まれるのは、
- ローン
- カードローン・クレジットカードのキャッシング
- クレジットカードの分割払い・リボ払い
- 携帯機種代金の割賦払
- 奨学金
となっています。
返済負担比率の具体的計算例
- 年収:600万円
- 住宅ローン:毎月10万ボーナス加算10万×2(年間140万円)
- 自動車ローン:毎月5万円支払予定(年間60万円)
- 携帯機種代金の割賦払い:毎月5,000円(年間6万円)
- クレジットカードのリボ払い:毎月2万円(年間24万円)
年間返済額(自動車ローンの予定を含む)が230万円なので、
230万円÷600万円×100=38.3%
となります。
何%だと審査に落ちる?
金融機関によって多少の上下はありますが、35%~40%を超えてくると審査に通らなくなってきます。
4. 直近に他にもローンの申込みをしている
マイカーローンを申し込む直前直後に、別のローンを申し込んでいると、審査に落ちる可能性が高まります。
特に直近に消費者金融など高金利ローンの申込をしている場合は、「なぜそのようなお金が必要になっているのか」という疑問を持たれ、ローンの審査に悪影響を与えてしまいます。
5. 正社員以外の雇用形態の場合
お金を貸す側としては「定期的かつ安定して」返済してもらわないと困るわけです。
そのため、契約を打ち切られてしまう可能性がある、
- 派遣社員
- 契約社員
そもそも長期雇用を想定していない、
- アルバイト
- パート
など、安定した収入が見込めない雇用形態の場合は審査に落ちてしまうことがあります。
6. 一定以上の年収がない
金融機関によっても若干の差はありますが、年収が200万円を切るようだと審査に通ることは難しくなります。
年収が少ないと、上記の返済負担率の面でも厳しいですし、マイカーローンの返済に充てられるお金が絶対的に少ないので、「返済が困難になるのではないか?」と考えられてしまうのです。
7. 就職・転職して1年未満の場合
職を転々とするといったような転職歴まで調べられるわけではありませんが、お金を貸す側としては転職して2~3ヶ月という状態ではまたいつ退職したり、転職して収入状況が変わってしまうか分かりません。
そのようなリスクを避けるため、最低でも勤続1年以上がマイカーローンの審査に通るための条件となります。

8. 税金を滞納している
納税は国民の義務です。その納税義務さえ果たしてないことが分かった場合、マイカーローンの審査は通りません。
ちなみに税金滞納の延滞利息は、金利が高いので優先的に税金を納め、ローンの申込みはその後にすることをおすすめします。
9. 職業が水商売、自営業、経営者、役員などの場合
審査に通るための一番の条件は「安定した収入があること」です。
そのため、
- 水商売
- 芸能人
- フリーランス
の人などは収入に波があり安定しないため、審査に通りにくくなっています。
また自営業者や会社の経営者などの場合、マイカーローンで得たお金を事業資金に流用する可能性があります。そのためやはり審査が厳しくなりがちです。
10. 勤務先や年収などについて虚偽の申告をしていた場合
現在水商売をしていたり、フリーランスの場合などの場合、以前の勤務先に勤めているという虚偽の申告をしてしまうことがあります。
ただこれについては、ローン会社などから勤務先に在籍確認があり、ごまかすことはできません。
また年収が一定額に満たない場合も多めに申告するなど誤魔化してしまうことがありますが、これも現在の勤務先と勤続年数を確認すればおおよその年収は分かるため、「うそ」はばれてしまいます。

審査に通らなかった場合の対策法

保証人を付ける
審査に通らなかった場合、親兄弟や友人などを保証人につけることで審査に通ることがあります。
ただ自分が金融事故を起こしている場合、生計を同じにしている親族(例えば配偶者や同居している親など)は、保証人として認められない場合もあるので、注意が必要です。
契約条件を見直す
審査が通らなかった場合、契約の条件を見直すのも一つの手です。
例えば「ローンの期間を短くする」とか、「頭金の額を増やす」などといった方法です。
金融機関側としては貸したお金が回収できないというリスクを避けたいわけですから、支払期間を短くして「お金を貸している期間」というリスクを減らしたり、頭金を増やして「貸す金額」を減らしたりすれば、審査結果を見直す可能性があります。
ローンの申込先を変えてみる
最初に説明したように、銀行系よりも信販系、信販系よりもディーラー系の方が審査が緩やかになっています。
また同じ銀行系、信販系でも会社によって判断基準や判断ポイントが違い、A社では審査が通らなくても、同じ条件でB社なら通ったということも実際にあります。
そのため審査に落ちてしまった場合は、ローンの申込先を変えてみると審査に通る可能性があります。
ただ他社で審査に落ちたという情報は共有されるため、再審査は条件が厳しくなります。
そのため「自分は条件的に少し厳しい」と考えている場合は、始めから審査の緩やかなディーラー系のマイカーローンで申し込むことをおすすめします。
キャッシングやリボ払いの借入金額を減らす
そのためこれらの借入金額が多いと審査に落ちてしまうことがあります。
そこで審査に落ちてしまった場合は一旦キャッシングやリボ払いの返済に集中し、借入金額を減らしてから再度マイカーローンに申し込むことで、審査に通ることがあります。
マイカーローンの審査に落ちる以外な落とし穴

携帯会社の乗り換え時のうっかりが金融事故に、最近マイカーローンの審査に落ちる原因で増えているのが、携帯機種代金の割賦金の未払いです。
それも意図的で、悪質な未払いではありません。
携帯会社を乗り換える時は、契約してから24ヵ月目に切り替えを行うことが多くなっています。
未払いだと請求が来るのですが、1ヶ月分と少額なこと、「契約は終わっている」という意識からこれを未払いのまま放置するケースが増えています。
すると2ヶ月以上経てば「長期滞納」扱いとなり金融事故になってしまいます。

マイカーローンの審査で見られるのはあなたの「信用」
マイカーローンの審査に落ちてしまう10の理由を見てきましたが、どの理由にも共通するのは「信用」に疑いがあるという点です。
クルマを売りたいディーラーはもちろんのこと、銀行であっても融資をして利益をあげたいわけですから、「お金を貸したくない!」と言っているわけではありません。
ただ、きちんと返済してくれるかどうか「信用」できない人を審査で通すわけにはいかないというだけのことです。
金融事故の項目で紹介しましたが、信用情報がリセットされるのには5年もの時間がかかってしまいます。
まずは自分の信用情報に「傷」を付けないこと。そうすればマイカーローンの審査を恐れることは何もありません。
皆さんが豊かなカーライフを送れることを祈っています。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。